おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

稲垣えみ子「もうレシピ本はいらない」

     12月14日 金曜日 雪降ったり止んだり・一時晴 3度・・5度


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 第五回 料理レシピ本大賞 料理部門エッセイ賞受賞本。この題名の、この内容の本が受賞するとは、粋なことだねー、というのが最初の感想。
 作者は朝日新聞の記者をしていたが、50歳で退社、給料日が来れば自動的に口座にお金が振り込まれた日々の終わり。
 しかし、まったくどうってことはなかった。鳥のように猫のように自由。気づいたら、自由をもたらしたのはお金でも資産でも、特別な才能でも無く、「料理」だった。自分一人が機嫌良く食っていくために必要なものを作りだす料理する力はすでに持っていた。それで、人生、怖いもの無し。
 と、言うわけで、土井先生ではないけど「飯、汁、漬け物」の食事が美味しくて美味しくて、走って家へ帰りたいくらいの暮らし、が綴られている。

 勤めを辞めて引っ越したところは台所も小さく、残した調理道具は、ミニカセットコンロ。ストウブの小鍋。小さな鉄のダッチオーブン。包丁、まな板。ボウルと笊。これだけで、なんの支障もなかった。鍋で美味しく米を炊くのもいとも簡単なことで、玄米なら前の日に水に浸けるが、白米なら磨ぎもしない。
 冬にトマトを買ったりせず、冬は冬の野菜、残った野菜は何でも干す。食費は一日200円。多めに見て月2万円(彼女は日本酒を飲む)。美味しそうなおかずがいろいろ出ている。煮たりゆでたりする鍋に一緒に徳利を立ててお燗をする。楽しそうだ。

 わたしはいま、老いてもろもろの力が乏しくなりながら年金だけが頼りの暮らしだけど、大いに力づけられる。
 昭和20年代の終わり頃、高校生の時の自炊生活を思い出した。コンロに炭を熾し、アルミの小さい鍋一つでご飯を炊きもおかずも煮た。ご飯炊き、失敗しながら自分なりのやり方が定まり、米を茶碗に一杯半、水を同じ茶碗に2杯半、という割合を今も覚えている。下宿は木曽川に近く、そのほとりに降りて自生している三つ葉や芹を摘んで食べた。なんのことはない、「草食い」はその頃から。
 何でも屋の八百屋で鯖が安かったときはしめ鯖を作った。浅く切り目を入れて次切り離す、しめ鯖の切り方を小僧さんが教えて呉れた。焼き茄子はよく作った。一度馬肉が手に入ったときは、煮汁で越後の車麩を煮てたくさん食べた。
 弁当のサンドイッチ、ジャムは無いから砂糖を振りかけただけ、塩気のものは目刺しを焼いて頭を取って挟んだっけ。あの頃、その程度にでも自分の食べるものを作れたのは良かったなあ。下宿のおばさんがくれた「お葉漬け」がとても美味しかった。






 
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by buribushi | 2018-12-14 23:51 | | Comments(4)
Commented by kazuyoo60 at 2018-12-15 08:23 x
手に入るものを美味しくですね。前から私はそうしています。家にある食べられるもの、勿論利用しています。
家で人寄りがあることを想定していた若いころの母、普段使わない食器たちも沢山ありますが、さりとて捨てきれません。
Commented by tsunojirushi at 2018-12-15 15:30
病的に「素敵な食卓」に憑かれることは無用。としばしば思います。きまりごとも全部守らなくたっていい。
何でも臨機応変、ということですね。
それは料理だけのことではないですね。
Commented by buribushi at 2018-12-15 21:34
kazuyoo60さま
野菜は頂き物が多いし、乾物もあるし、「籠城出来る」というほど食材があります、かいものはトトっけ(蛋白質系)を少し、で足ります。
買い物一切しない週間、でも設けないと。
昔は芽出た、不芽出た、みんなうちでしましたね。不要になった膳椀を払ったら二束三文でした;
Commented by buribushi at 2018-12-15 21:38
tsunojirushiさま
その度にレシピを見ないとつくれないようなもの、やってられませんね(お正月の煮しめだけは、「この味だ」と言って貰うためにぼろぼろの料理本を見ますが)。
材料を見てから作る物を考えるのが好きです。
>だけのことでは
たしかに。

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