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おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

襤褸(ぼろ)に物語り

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 明治12年生まれの祖母の布団だった布。夜着を仕立て直したようで、「違い鷹の羽」らしい紋所が一部入っていた。
 鷹らしい鳥は大まかな輪郭だけ染められて、そこに墨で細部が描いてある。慣れた筆つきで、鋭い鷹の貌や、羽根、尾羽根、脚などが描かれている。こういう型染めをほかに見たことがない。
 87歳の祖母が1週間病んで亡くなったあと、望んでこの布団を形見にもらい受けた。鷹が気に入っていたから。
 父の生母は父が3歳のとき33歳で亡くなり、その後へ来たおフジぱっぱはザ・おフジで、話が山ほどある。若い時、山の畠へ行くのに裸馬に乗って、キセルで煙草をふかしながら行った。とか、13回、嫁入りと離縁を繰り返した後に祖父の処へ来た。女の子3人と末の男の子、四人の子持ちの祖父は、おらちで勤まらんば勤まるとこは無ぇ。オレが我慢すればいい、と言ったそうだが、早死にして仕舞った。祖母は離縁されずに済んで猛威を振るった。
 末っ子の長男(私の父)の嫁に、自分の弟の娘をもらった。母のした山ほどの苦労。3女が私の養母。母と私と、なぜか2代続けて伯母を義理の母に持った。私の山ほど・も語り尽くせないし、語っても理解してもらえない。
 祖母のような実力行使は無かったが、養母の猛威はまた種類の違うもので云々。もう終わって久しい。よかった。
 父の生母が33歳で亡くなったのは、長塚節の小説「土」の中で主婦が亡くなったのと同じ原因であったし、祖母が姪を嫁にしたのも、伯母が私を養女にしたのも、自分の老後を見させるという明確な目的があった。母も私もその役目を果たした。
 貧しい田舎の家の、ふつうの女の地位は、80歳の私の頃まではそんなものだった。二人とも初めはさほどの自覚無しに役目を引き受けたと思う。解った頃はすでに遅し。しかし、二代続くこともなかったのではないか。
 母は祖母の形見を何ひとつ取らなかった。私は養母の形見を一切取らなかった。

 こんな話をするつもりではなかったけど、片付けをしていて久しぶりに祖母の布団地を見たら。ごめん。


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 「河濯大権現」と読める。右肩に?時 明治三歳 古城邑。 
  左側には庚午九月吉日 願主 阿部於とら。
 

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 その裏側。「河裾大明神」明治六年 五十〇(読めない)谷  宮村 十七歳女。

 米袋の裏だったようだが、神社に上げた幟のお下がりだろうか。みごとにぼろぼろで、うらに紺絣の古い布で継ぎ当てがしてある。
 何故うちにあるのか分からない。だから物語もない。さまざまなことを思い巡らすだけだ。



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by buribushi | 2018-06-21 06:21 | その他 | Comments(10)
Commented by demi_zo at 2018-06-21 07:14
なんと鋭い目つきの鷹でしょう!!
生きているよう!
そして次の世代へと飛んで行って欲しいですねぇ〜^^

Commented by kazuyoo60 at 2018-06-21 09:33 x
素晴らしい模様です。勢いのある鷹の顔です。
日本の模様、素晴らしいと思いますが、さて、洋服の模様からは遠い気がします。もったいないことです。
Commented at 2018-06-21 14:54 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tsunojirushi at 2018-06-21 16:07
うーむ…。女性の生きたひとつ前の時代を思う。窮屈だったなぁ…。
布はどれも、素晴らしいですね。資料としても。
Commented at 2018-06-21 17:03
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by buribushi at 2018-06-21 17:37
demi_zoさま
これ、染めものとしては稚拙だけど、墨絵はシロウトではありませんね。
スゴイばあさんではあったけど、身につけたものが要らないというほどの感情はなかったのは母と違うところです。
Commented by buribushi at 2018-06-21 17:40
kazuyoo60さま
画家(絵師、か)の腕は良かったですね。
ゆうに百年は越えている布、まだ魅力があります。
Commented by buribushi at 2018-06-21 17:44
鍵コメさま
なぜ、母はまったく同じ人生(伯母が義理の母)を私に与えたのだったか、わかりません。
もう終わった事だ。と思いながらも、ありったけ話して、手放せたらとまだ思っています。
Commented by buribushi at 2018-06-21 17:57
tsunojirushiさま
三砂ちづるの本で女の生を読むと泣くしかありません。
わたしより20歳も年下のころの養母の浴衣の地味ーなこと、私は大きな鯉が跳ねているノーテンキな浴衣をまだ着るから、その程度には自由ですね。
Commented by buribushi at 2018-06-21 18:23
二番目の鍵コメさま
ありがとうございます。
私も鍵コメ的内容になっちゃったので、お宅様へ伺って鍵を掛けて来ました^^
寅さんじゃなくって、「女はつらいよ」です。

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