おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

建前論

a0203003_2034154.jpg

a0203003_21333533.jpg


本音と建前、というときの建前ではない。
家を建て始めて、棟木が上がったときに行う儀式、上棟式のことをこの辺りでは建前という。屋根の中心に御神酒、野菜や魚、米などのお供えをして御幣が立てられる。
棟梁が屋根の上で、工事の安全と一家の繁栄を願う言葉を述べて大きく柏手を打つと、そら始まるぞと集まっている人たちがどよめく。
餅、飴玉などの菓子、ご近所にご縁がありますようにと、こよりを通した五円玉などが屋根の上の職人たちの手でばら撒かれ、みんなが声を上げて喜びながらそれを拾う。
家の四隅からは隅餅という丸餅が一つずつ。そして芯餅というのは一個で、一番大きい丸餅。これらを拾うのは幸運で、歓声があがった。

終わると、施主(家を建てる主)がこれからもよろしくと挨拶、みんなが口々におめでとうを言って散る。なかなか晴れやかな、楽しい行事で、今日はどこそこに建前がある、と聞くと、どこからか大人も子どもも集まって来て、建てかけの家のまわりにたむろしていた。

私たちが町の中心部からここに越して来た時は、道の向こう側は大きい田んぼ、並びには畑、という場所だったが、二十何年間には田は埋められて宅地になり、だんだん家が増えて来た。いまも二軒の家が建ち始めている。
最近は「建前」をしないままということがだんだん増えて、あれ?いつのまにか家が建ってるよ、ということも多くなった。

今どき、餅でも菓子でも欲しければ何時でも手に入るし、それが欲しいわけじゃない。
施主からは人々に挨拶、人々からは御祝いを述べる、そういう機会。
家が出来上がるまで毎日働いて貰う人たちへの感謝を表す、そういう機会。が、無くなることになる。なんだか寂しいじゃないか。

大工さんが請け負って家を建てた時代から、会社がそれをするようになって変わったのだと思う。
ハウスメーカーは、なるべくお客に負担をかけさせないよう、建前はやらない、と言うそうだ。
お供えや撒きものの用意、職人さんへ御祝儀。たしかにそれだけ費用はかかるけど、家を建てるという大仕事全体から見たらなんぼのもんか。職人が気持ちよく働けるようにするのも大事なことでしょうに。
費用少し浮かせて、大きいものを落としていないか。

私たちも、有り余って撒きものをしたわけじゃない。家が出来たばかりには、電灯の笠を買うのを倹約して裸電球を下げていたが、ご祝儀袋は余分に用意し、お使いの人にまで渡して喜んだ。

「お客も若くて分からないんだろうが、親がちゃんと教えてやるべきだがな。うちのお客さんはきっちり面倒みてくれるぞ。ありがたい」とは、お前の所ではどうなんだ、と聞いてやった夫のメールへの返信で、うちの息子は大工です。

魚沼での、子ども時代の記憶。上棟式は「おねあげ」と言った。「棟上げ」であろう。式の後はお酒とご馳走が出て、暗くなってから酔った大工さん達が大声で歌いながら村道を歩いて、棟梁を家まで送って行く「棟梁送り」でその日が終わった。いい時代だったね。



by buribushi | 2013-06-28 06:28 | よのなか | Comments(6)
Commented by ミミの父 at 2013-06-28 08:16 x
小さい時の建て前の記憶は賑やかで楽しみでした。
もう何十年も見ていません。
20年位前引っ越してきた時は、20m位先は田んぼでしたが今は建売が建っていて、町内会も倍の120件くらいになりました。見かけない人が歩いているな~と思ったら建売の住人です。でも20年前は同じように見られていたんでしょうね。f^_^;
でも見える範囲は挨拶回りしました。後で聞いたら家だけだったようです。f^_^;
Commented by kazuyoo60 at 2013-06-28 10:30 x
抜歯の後の痛み、大丈夫ですか。痛かったでしょう。何度も経験済です。
今はもう建前の行事が消えてきかけてるのですね。棟上げと奈良では呼んでますが、鉄筋の建物だと~~です。
Commented by buribushi at 2013-06-28 12:44
ミミの父さま
今でさえ楽しいと思いますもの、子どもの時なんか本当に、足が地につかないほど浮かれた気持ちでしたね。
うちの町内も、田んぼは埋め立てられ、町内の戸数は倍くらいになりました。
やっぱり近所に挨拶など、要りますよ、見慣れない人だけど誰かナーとおもっていると町内の人だった、なんてねー。
こんなに家が増えているのに、町の人口は横這い、とはこれいかに。
Commented by buribushi at 2013-06-28 12:48
kazuyoo60さん
痛かったし、なかなか抜けないので、こんなに丈夫な歯に生んでもらったのに、だめにしちゃって悪かったなー、としきりに思いました。
いままさに建ちかけの家が2つあるけど、建前はなし。そう遠くでもないのに、見にもこないのはどういう了見?
これから一生入る家をつくっているのだから、職人も喜ばせたり、自分も喜んだり、すれば?と、わたくしオバーはやきもき(いらんお世話)。
Commented by 居酒屋猫まみれ at 2013-06-28 22:25 x
建前。懐かしいですね〜。
紅白の丸餅。
子供のころ住んでいた家(現在住んでいるところもそこの町内)の
おとなりさんで建前をやったときに、まだ小さかった私は
拾えないで、ドブに転げ落ちた赤い丸餅を「あ〜あ...」と見ていた記憶があります。そして、その様子をおとなりのおじちゃんは見ていたのでしょうね。後で紅白、手渡してくれた。
ほーんと、ああいう習慣があった昔のニッポンは良かったなあ。
今でも、あるにはあるのでしょうけれどね。
「何それ?」って若い人がほとんどじゃないかしら。
寂しい事ですね。
↓越後の茄子っ食いって言うんですか〜! なるほど。
確かに、茄子の種類にはびっくりしました。
十全茄子も美味しかったです。
抜歯したのですか、歯肉が盛り上がるまではうっとうしいですね。
おだいじに〜。
Commented by buribushi at 2013-06-28 22:51
居酒屋猫まみれさん
うちの息子大工はいまでも建前してもらっているらしいですよ。
工務店の姿勢によるんでしょう。
若い人が知らなかったら、「指導」してでも、簡略でも、やるべきよ。職人さんも「おーし!」と頑張っちゃうでしょうに。
そう言うことはウチの会社ではやりません、費用もかかるし面倒だから、いまは皆さんそうですよ、なんて、サービスのつもりで言うハウジング会社がいけない。
そうかあ、なんて喜んで略す施主もわるい。
これから自分が一生入る家が出来るのに、変なとこ、合理化するなと言いたい。
毎日出来つつあるところを見にもこない、施主の気が知れません。
茄子はおいしいですねー。
漬け物美味しい、上げても美味しい、煮て藻、焼いても美味しい。
さっぱりおかずも、こってりおかずも思いのまま。茄子はいい子ねー。

日々の気楽なおしゃべりです
by すばる
プロフィールを見る
画像一覧
通知を受け取る

最新のコメント

仲良しですね、ゴエちゃん..
by tsunojirushi at 22:51
kazuyoo60さま ..
by buribushi at 21:21
>ゴエちゃんいいこねー ..
by kazuyoo60 at 19:10
tsunojirushi..
by buribushi at 16:15
鍵コメさま ありがとう..
by buribushi at 14:23
ひよりさま 沖縄の旅、..
by buribushi at 14:21
ダイエットで15000歩..
by ひより at 09:00
すばるさんは、なんでも丁..
by tsunojirushi at 20:56
kazuyoo60さま ..
by buribushi at 20:50
鍋掴み、この頃ほとんど使..
by kazuyoo60 at 19:55
あい、ihciato、そ..
by buribushi at 10:15
kazuyoo60さま ..
by buribushi at 10:07
kazuyoo60さま ..
by buribushi at 10:00
ミケさま そう、一年熟..
by buribushi at 09:57
あい、ihciat! ..
by buribushi at 09:53
どっかで見た… 大分..
by ihciat at 09:39
ちきあぎー美味しそう(^..
by ihciati at 09:34
私も欲しいです。ショウジ..
by kazuyoo60 at 09:20
嬉しいお手伝いです。頼も..
by kazuyoo60 at 09:19
堆肥は手がかかっていても..
by mikeblog at 00:01

にゃんの針しごと

◆gardening
   ☆kazuyoo60さん
     のブログ
◆ネコと飼い主その職業と
  趣味

   ☆ゴンベイさんのブログ
◆元気そうじ屋
   ☆片付け・そうじ屋さん
     のブログ
◆掟破り*キモノ日記

   ☆華宵さんのブログ
◆なんでもかんでも手帳

   ☆ミミの父さんのブログ
◆東成瀬通信「んだすか。」

   ☆杉山彰・あおい夫妻
     のブログ
◆気まぐれフォトダイアリー

   ☆咲さんのブログ

ファン

検索

ブログパーツ