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おしゃべりねこ

生まれて来た甲斐

マゴの一人が、2年間竹工芸を習って帰った。正確に、かっちり編まれた日用品の籠類のよろしさ、ばーちゃんぜーんぶ欲しい、というほどどれも好きだ。
この夏十日町で、「越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ」が開かれるのへ参加するという。
古民家を2週間借りて、編む実演をしながら竹製品を売るそうだ。それでいま、作品を作り溜めている。「牛のしごと」なんかもあるので、なかなか忙しい。
見た目はきゃしゃなようだけど、竹を削って材料を作る段階から気をつけて実用的に、しっかりとを心掛けて編んでいるので、力を入れて掴んでみてもびくともしない。
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いまは同じ長岡市ということになっている山古志、もと古志郡山古志村は、日本に何か所か現存するだけの闘牛の地元である。
昔は農耕用だったのだろうが、いまは闘牛のためにだけ飼われている。何の金儲けにもならないし、賭け事にも関わらないし、純粋に、牛が好きでやっているだけなので、長続きしたのだろうという。
そんなだから「牛持ち」になるのはステイタス。中学校を卒業して上京した人が、働いて独立して牛持ちになり、闘牛の開かれるたびに越後へ帰る、なんぞは、たまらない成功の味わいだろう。

地元にいない「牛持ち」のためには、以前「村営牛アパート」と言った共同の飼育場があって、ふだんそこで世話されている。
マゴは京都で2年勉強する間に、つくづく越後はいいところだと思った。帰ったら山古志へ住むなどはどうだろう、と思ったそうで、せっせと通う内にいろいろお知り合いも増えた。
牛の組合のえらいさん、うちでシゲゾウ親分とあだ名している人がマゴを可愛がってくださって、牛の一頭を彼女の牛と言うことにしてもらった(もちろん名前だけ)。
マゴはその牛に「勘助」と名をつけてかわいがっている。闘牛のあるときはスタッフとして行っている。などと、娘にこまごま聞かせてもらう。

なんと幸せな二十歳だろう。私は生きて来ていいことばかりではなかった、生まれない方が良かったなどと思ったこともあるけど、私がいなければこんな幸せな女の子に会えなかったので、それだけでも生まれてきた甲斐があった。
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by buribushi | 2012-06-17 14:26 | 作る | Comments(12)
Commented by kazuyoo60 at 2012-06-17 15:35 x
綺麗で丈夫な笊ですね。編む竹を作って、編み上げる、どの作業もお一人でこなされるのでしょう。頑張ってこられました。
孫嬢ちゃんですか。よほどのことが無い限り、幸せと不幸せを同じだけ背負ってる、みんな平等だと思っている私です。
日々頑張られて幸せの道を進まれるでしょう。
Commented by buribushi at 2012-06-17 17:36
kazuyoo60さん
ありがとうございます。
竹を割って、削って作る、全部一人でこなします。細い細いヒゴを作って、指先ほどの小さい籠を編み、紅いガラス玉を閉じこめてイヤリングを作るなど、よく考えてやっています。
十日町へはお客になって行くつもりです。
思う道へ進む事が出来て、親もそれをさせるゆとりがあって、まあ果報者ですね。山古志でもアイドルですって。
Commented by 居酒屋猫まみれ at 2012-06-17 22:23 x
牛を引いている、髪を束ねた方がお孫さんでしょうか?
勇姿ですね〜。
まだ若いのに、日本の伝統芸能の中に飛び込んで行ったのですね。
何とも素敵なお孫さんです。
反対せずに飛び込ませてあげた娘さんも天晴です。
わたしもいつかお客さんに!
Commented by buribushi at 2012-06-17 22:36
居酒屋猫まみれさん
そう、あれですよー。
山古志は2千人台のちいさな村(いまは合併で長岡の一部ということになっているけど)で、そこへ若い女の子がとびこんだので、アイドルですね、まるで。
牛の仕事に行っていると、じいちゃんが来いや来いやと傍に呼んではいろいろなハナシを聞かせて呉れるそうで、果報者です。
今日娘の話を聞きながら、涙が出るのを一生懸命隠していました。
山古志の闘牛は一度見られたらいいですよ。
屋根のついた観覧席もあるし、おむすびやもち、せんべいなど、地元の食べ物も売っています。
Commented by ミミの父 at 2012-06-17 22:44 x
優しい籠ですね。男の籠でないことが分かります。
二十歳で方向を決められたのが凄いです。自分は何も分からず飲んだくれていたかも。f^_^;
Commented by buribushi at 2012-06-18 09:41
ミミの父さま
きゃしゃに見えてかっちりと固く編まれています。材料の竹を削るときから丈夫に、を心掛けているのですね。
本物が、認められることを願っています、信じています。
私の二十歳なんてまるでだめ子だったので、マゴがよく生きてくれるのは有り難い。私が生きていたからこの子がいる、と思って。
あの、ナイショばなしですけど、私が生きているうちにヒマゴだって間に合うかも?
Commented by 花音 at 2012-06-18 11:48 x
こんにちは

素晴らしい籠ですね。
お孫さんは自分の道を若いのに決められて、本当にしっかりしていますね。
私など、思いだせば恥ずかしいようです。^^;

「生まれて来た甲斐があった。」
素晴らしい言葉だと思います。
私もいろいろな事がありました。
そのたびいろいろ悩みました。
いまでもそれは続いています。
「生まれて来た甲斐があった。」私も、こんな風な言葉が言える日が来ればいいなと思っています。
Commented by buribushi at 2012-06-18 13:21
花音さん
卒業制作は、天井から吊り下げてゆったりと身体を預けられる大きな揺り椅子?でした。私は「ばーちゃんのイモ洗い籠」というのを貰いましたが、大きくて、イモをいっぱい入れたら私には持てません(笑)。

悩みがあるのはまだ現役の生で、つまり若いのですよ。
わたしは年を取るにつれ生きているのがラクになって来ました。
気持ちの四捨五入も覚えたしね。
そうなってくると、残り時間も少ないのね。
ははあ、これがそうか、年取るって悪くないな。と、きっと思われますよ、いまに。
Commented by 大阪のおばちゃん at 2012-06-19 08:50 x
素晴らしいお孫さんですね。うらやましい。うちの母もそんなふうに思ってくれたらいいですが。私に対する評価が低いので、育てた甲斐がないと思っているかも。わたしは制約がいっぱいあったので、息子たちには思う存分自分らしく生きてほしいです。生きとるな。沖縄まで虫追いかけて行ってるし。
Commented by buribushi at 2012-06-19 12:43
大阪のおばちゃんさん
ありがとうございます。私は評価ひくかったし、制約ありまくり
だったし、親子の間はいろいろあれですけど、マゴの代になれば手放しで喜んでおれます。
私の子、勤め人はいなくて、大工とかそうじ屋とか。私の子らしいかな。マゴにまず一人職人が出来てめでたし。
王子さまは虫追いかけて沖縄へ行かれたんでしたか、それはそれは。お幸せですね。
Commented by t-haruno at 2012-06-19 21:09
ご自慢のお孫さんですね。なんて頼もしい若者なんだろう。
お孫さんのように、土地に馴染み、伝統的なものを受け継ごうという若者が、徐々に増えて来ているのが
この国の希望の光ですね。
竹の籠、誰もが欲しい!と思いましたよ。きっと。写真を見て。
妻有のトリエンナーレでも、きっとたくさん売れることでしょう。
地元の竹、どんどん使ってね~~~~~~!頑張れ、お孫さん。

牛飼いがステイタス。そうそう、そうなんですよね。
私が闘牛にひかれたのは、徳之島へ、戦死した祖父の慰霊に行った際のことでした。
闘牛の島だってのは知っていましたが、
本当に島の地区ごとに闘牛場があって、島のあっちこっちに闘牛用の牛が飼われていて
小学生が卒業文集に「横綱の牛を持つのが夢」って書くと聞き
これはただごとじゃない、すごい文化だ!と興奮したのがきかっけでした。
山古志の闘牛文化も、地震を乗り越えて、今につながって本当に素晴らしいですね。
勘助も頑張れ~~~~~~!
Commented by buribushi at 2012-06-19 23:05
t-harunoさん
ありがとうございます、竹のもの、まだまだいろいろ作るんですよ、揺り椅子もイヤリングも、垣根も弁当箱も。
生涯出来る仕事だし、どこにいても出来るし、良かったなあ、と思って。
地元の人たちの可愛がってくださることもほんとに有り難い。
牛飼いは稲藁をたくさん貯える。ネズミが出る。だからネコを飼う。冬になると、牛小屋にネコも犬もくっついて、みんなであったかくして寝ていたんですって。
草刈の合間にそんなはなしをしてくださるそうです。
村中の人がヘリコプターで避難しなければならなかった震災のとき、その動物たちがどうなったか、じいちゃんは言わなかったしマゴも聞けなかったんですって。
牛持ちの家の、小学校へ入ったかどうか、くらいの小さい男の子が牛の綱を持ち、場内引き回しをすると大拍手!なんだかじんわりと涙が出てきます。
勘助はおっとりした良い牛ですよ。
それでも出番待ちの時は、ンブォー、とすごい声で鳴いてアピール!
まあほんとに、長生きはするもんです。

日々の気楽なおしゃべりです
by すばる

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