おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

カテゴリ:ひと( 89 )




あねの雑巾


あねの縫った雑巾は厚く、かたく、びっしりと刺し縫いされている。洗って乾かすと、するめみたいにしゃんと立つ。
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私の雑巾は軟弱である。
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雑巾を挟んで止める道具に着けて、立ったまま力を入れて床を拭くのにはあねの雑巾にかぎる。これだと、手で拭いたところからもまた汚れが取れる。使った雑巾をあねが使ったと同じ綺麗さにして置くには、石鹸を使ってごしごしもみ洗いをする。彼女が身近にいないいま、雑巾を通してあねに教わっている気持ちだ。

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 結婚してここに来たばかりの頃、あねが、布団の洗濯をしなさいと言った。布団の洗濯ってどうすればいいんですかと聞いたら、「布団の洗濯ぐらい誰でもする」と言ったばかり、待っていても後の言葉は無かった。
 仕方無く、まずは押し入れに何年も置かれたどしりと重たい布団を何枚も出して解いた。解きながら、額縁仕立ての布の折りかたをよく見ておいた。
 買って来た布海苔を煮溶かし、洗った布を浸して張り板に貼った。庭続きの隣のおばあちゃんが、盥の中をひたひたと叩いて糊の濃さを見たり、貼った布に気泡があってぷつぷつふくれているのを撫でて追い出したり、教えてくれた。
 乾いたのを剥がして、縫う。額縁仕立てもなんとか出来た。打ち直しに出して置いた綿も出来た。綿入ればかりは独習というわけにいかない、綿やさんに頼み、傍でじーっと見ていた。何枚も、たちまち出来て積まれていく、そのめざましさ。
 炬燵布団が要るとき紺地の浴衣を解いて作ったり、子どものお昼寝布団を作ったり、するようになったのはあねのしごきのたまものです。

 ついさっき、あねの家の片付けをしている娘二人、「元気そうじ」コンビが寄っていった。おばちゃんがねー、漬け物のレシピを細かく書いた紙を畳んで、大事に仕舞ってあったよ。そのレシピ、かあさんの字だよ。と。
 風邪を引いたと聞き、手伝う積もりで行けば、洗った茶碗を洗い直されたり、干し上げた洗濯物を全部外して洗い直されたり、うちへ帰って泣くしかないようなこともいっぱいあったけど、雑巾を見ると、私のする事が歯がゆかっただろうこともわかる。
 初めてそんな気持ちになったとたんに、漬け物のレシピの事を聞いて、偶然ではないと思った。ねえさんありがとう。

シンクロニシティ(意味ある偶然の一致)

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by buribushi | 2017-09-15 14:21 | ひと | Comments(6)

幕末の祖父

 明治二十三年のポートレート」の、夫の祖父は、その時34歳だったと言うことは何時の生まれだろう。
 辞苑の巻末にある年表を見た。明治23年(1890年)34歳、満年齢なら33歳の人は、私の計算に間違いが無ければ安政四年(1857年)の生まれになる。

 安政は六年まで。万延は一年。文久三年。元治一年。慶応三年。そこからは明治。祖父は江戸時代末期というか、幕末の人ではないか。歴史がにわかに近くなる思いがする。
 
 かつて韓国の自然農業家、趙韓珪(ちょーはんぎゅ)先生のお話を聞いたとき、すぐれた話者の話からは二百年を遡る事が出来ると言われた。
 むかしのように、ラジオもテレビもなく、本もあまり読めない時代、人はよく語りよく聞いたのではないか。
 祖父母や父母がよく語りよく聞くひとであったとしたら、80じじばばの私たちは百年も百五十年ものことを聞き、語ることが出来たのではないか。私たちも子や孫に語る事がゆたかに持てたのではないか。
 いや、子どもや若者は忙しく、老人の話に聞き入る時間などないか。

 夫の従兄弟にあたる人が系図を作ってみると言って、しきりに戸籍や過去帳、その他のことを尋ねて来られるが、それというのも、お互い老いたのだ。



by buribushi | 2017-08-12 21:49 | ひと | Comments(4)

明治二十三年のポートレート

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 ガラス板に焼き付けられ、桐の枠に入った親子の写真には、枠の裏に明治二十三年六月十九日と書いてある。父親34歳、向かって右の子8歳、左の子6歳。数え年だから、1,2歳引けば満年齢になる。
 この右の子が、後に夫の父になる幼名トクジで、先日の種簞笥の主である。



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 大正十四年六月七日の日付がある。
 上の写真の父親、初代T蔵の35年後、69歳。妻T、66歳。
 満80歳になった今の自分から見ても年上の人としか思えない、昔の人の老成?熟成?を見る。
 これは紙に焼き付け、台紙と表紙のついた写真だけれども、日付と名前、年齢の他にも書き込みあり。妻Tは大正十四年七月九日、この写真の1か月と2日後に亡くなっている。

 坐っているのは、私が結婚してこの町に来た頃暮らした古い家の、裏に面した縁側で、ここで子どもが遊んだり犬が上がって来たりした。

 敷いているのは、黄色い麻に灰色で丸く模様が織り出された夏座布団で、なぜ私が知っているかと言えば、今もうちに残っているから。
 夏の客座布団を洗って置きなさいと義姉に言われた。解いて皮だけ洗い、また綿に被せて綴じておけばいいということだった。すでに小さい穴やそのほかのほつれもあり、しくじったら大変だと思って洗いを洗濯屋に頼んだような気がする。それも五十数年の昔になった。
先年オヤカタ(親の家片づけ)で娘達が来た時、この座布団も処分したけれども、記念に2枚だけ残してある。

自分の生など、たんたんと長く流れて行く時間のほんの一部でしかないという気がして来る。





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by buribushi | 2017-08-12 08:12 | ひと | Comments(8)

イズミさんの刺し子ジャケット

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草取りをしていたら、お墓参りに来たからと、イズミさんが寄って下さった。
憧れて止まない刺し子ジャケットは、私が初めて見てから20年か?30年か?いい具合に洗い晒されて、ますます素敵。もとは印半纏だという。厚手の木綿に太めの木綿糸で刺し込まれた模様は、じつに多彩。形見分けにはこれをくださいという申し込みがすでにあるそうだ。


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後ろも。



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長女のところの隣の神社から落ち葉を何十袋も貰ってきて堆肥に積む。
芽生えたのは、これは桜の木?



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これは明らかに欅の木。
場所を得て植えられれば、長い年月を生きて大木にもなるものを、抜いて捨てる気にもなれないが、さてどこに植えるべき?



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ハットリさんにもらったジューンベリー、去年の何倍も花が咲いた。この近くにはカマツカもあり、やはり紅く実る。あかい実は大好き、嬉しいなあ。





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by buribushi | 2017-04-23 15:26 | ひと | Comments(6)

もっこちゃん木に登る

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一年生になったもっこちゃんが遊びに来た。畑へ連れて行ったら、シュガープルーンの木に難なく登る。


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弟のやまくんは急ぐと這い這いになる。


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もっこちゃんとワンコのタビちゃん。



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昨日芹摘みに行って見て来た木々の芽吹き。





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by buribushi | 2017-04-22 22:40 | ひと | Comments(4)

ゆめのしらせ

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明け方、はっきりした夢を見た。目が覚めたら中味を忘れて、何かとてもこころよく長い話をした、というその気持ちだけが残っていた。
人が、亡くなったかもしれない。



by buribushi | 2017-03-28 22:39 | ひと | Comments(2)

布草履どっさり・幅広エプロン

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 このあいだ、古い知人のイズミさんに、布草履用に浴衣や端切れを差し上げた。
 今日届いた荷物にびっくり、11足の布草履!(写真は一足ずつ重ねてある)わたし一人で履いていたら履き尽くせないから、友だちにもお福分けしよう。



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 彼女のとお揃いだというエプロンも入っていた。彼女より太めだと思うわたしにも、ぐるりと一回り身体を覆う大きさで、こんなの、どこにも売っていない。ありがとうございます!







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by buribushi | 2017-03-24 10:50 | ひと | Comments(4)

坂西徹朗版画展in南魚沼

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坂西徹朗版画展が南魚沼・浦佐の「池田記念美術館」でひらかれている。
魚沼・堀之内を通過中。弟の家に寄り、奥さんの美味しい山うどの煮物やわらびと豆腐の味噌汁をご馳走になって出かけた。

魚沼三山がよく見える。道路脇の雪の量はさすが魚沼だ。


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小出を通過中。山の斜面から道路へ雪が落ちないよう、雪崩止めの柵がいくつも取り付けてある。


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池田記念美術館の庭、浅くて広い池があってさざ波がたっている。水鳥も来ている。


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坂西さんが指導した、堀之内・宇賀地小学校生徒の版画、「自画像」。



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「版画彫り土を耕す生を選りぬ坂西徹朗五十路なかばを」

は、むかし、定年前に退職した彼を詠った。それから20年にもなろうか。この歌が誌上に出た時彼に報告するのを忘れていて、彼は別の友人からそれを聞いた。
今回彼は最後の個展か、と、制作に没頭し、お風呂や食事も忘れることがあったりしてげっそりやつれた、と聞いていた。今日はそれほどでもなくなっていて?安心した。
小生活者、絵は買えないので、せめて絵はがきをたくさん買って来た。楽しい便りが書けるように。





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by buribushi | 2017-03-12 21:05 | ひと | Comments(6)

大宜味村のしあわせなご長寿

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沖縄へ行って来られたさとうまさこさんから、お土産を送って頂いた。大宜味村で地元料理の店をしている金城笑子さんの本、ゴーヤー料理の本、そして那覇の市場の近くで古書店を開かれた宇田智子さんの本「本屋になりたい」、そして宇田さんのことが載っている新聞「沖縄タイムス」。みんな嬉しい!

大宜味村は沖縄の中でも元気な長寿者が多くて有名なところ。95歳現役の蜜柑農家のおじい、玉城深福さんは、定年前の50歳のときから蜜柑の木を植えて、定年になったらもう実が穫れるようになっていた。去年8トン出荷した、って。まだみかんの種を蒔いていると。88歳のおばあ、文さんの料理は何でも美味しい。

ほかにも83歳の豆腐職人宮城チヨさんとか、91歳のタコ獲り名人平良澄子さんとか、現役のご長寿が載っている。「うっちんくふぁじゅうしぃ(ウコンの炊き込みご飯)」など真似してみたい。

海山の幸が豊富なほか、あの村の水はとても美味しい。崖を流れ落ちる小流れの水があまり美味しくて、戻って汲んで来たかった。何よりも楽しく生きることを知っているのが一番の幸せだろうけど、自然にもとても恵まれた村。いまは唯一の芭蕉布の産地。


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昨日の夕飯。けんちょう(大根、人参、干し椎茸、豆腐、昆布などの煮物)。かき揚げ(まいたけ、ふきのとう、ジャコと牛蒡)、手前のコップは手製の「ど」の字、今年初絞り。絞り粕は粕汁にでもしよう。



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by buribushi | 2017-03-08 20:17 | ひと | Comments(14)

別れ雪・珍客-清談尽きず

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温かい日が続き、ぎりぎり巻きに縛って冬越しさせたローズマリーや椿「炉開き」を気の毒に思って紐を解いたのだったが、今日は止まずに降っている。


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今頃の雪を、季語では名残雪とか、別れ雪とか言うようだ。名前は風情があるけれども、春かなぁと思ってからの積雪はけっこう辛い。


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米の食味コンクールで県の1位を何回も取ったI村さんが来ているところへ、山のハシモトさんが来る。こんな組み合わせ、めったにあるもんじゃない。
ハシモトさんは過疎の村の放棄田で不耕起、無肥料の自然栽培、稲は雑草のように丈夫。回りの山には山うどに蕗、わらび、山葡萄でもあけびでも取り放題。I村さんは田んぼにカブトエビを湧かせて(自然に湧くのではない。栃木のカブトエビのいる田から土を貰って来て、その土に含まれた卵が孵化)、そこへ天然の鴨が来てかき回すから無除草。水を落とすと卵を残してエビは死んで肥料になる。鴨も糞を置いて行く。
I村さんの田んぼには、川から勝手にきたスッポンもいて、食いつかれるから田んぼに入らない(入る用もない)。スッポンは逃げ足が速くて一度も掴まらない。トンボも一杯いて、燕がその辺りにばかり飛んでいる。畦には毎年勝手に小豆が生えて、けっこう食べられるほど実がなる。
彼、歯を食いしばってがんばって1位を取るんじゃなくて、楽しくて楽しくて仕事をしているとそうなっちゃうところが素敵だ。
こんどハシモトさんがカブトエビの卵入りの土を貰いに行くそうだ。

I村さんは、電話で私から習ったマーマレードが出来たので味見して、という。晩白柚(バンペイユ)のマーマレードは初めて食べた。折しもgonbeyさんから届いた代官山のパンあり、切って、各種のマーマレードの味比べ。コーヒーも味比べ。清談尽きず、あー楽し。






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by buribushi | 2017-03-07 16:10 | ひと | Comments(14)

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