おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

オキナワ マイ ラブ

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1987年に首里のひるぎ社から初版が出ている、黒川修司「オキナワ マイ ラブ」。
黒川は1970年、17歳で沖縄に移り住み、1986年に引き上げるまで、シンガーソングライター、レコード店、ライブハウスなどをしていた。
何の予断も持たず異文化の中に飛び込んでもみくちゃになったはなしの数々は、うちなーんちゅが書いたのとはまた別の意味で私の沖縄理解に役立った。

「琉球フェスティバル」という催しのためのヤマト旅に、かっこよく言えばロードマネージャー、正確に言えばニムチムチャー(荷物持ち)として?同行した。
沖縄で知らぬ者もない高名な芸能人たちの無邪気さ。食事をして、珍しいお箸だと言うので、よろしければどうぞ。と言われるとわれもわれもともらってしまう。マネジャーには高額の請求書。
総打ち上げの日、主催者代表が、箱根の我が家は温泉が出る。よろしかったらどーぞ、と言っちゃった。半月がかりの旅の終わり、みんな帰りたいばかりだろうとお世辞に誘ったら、半分以上の人が誘いに乗っちゃった。
午前一時、主催者氏から黒川に電話あり。「おまえ、自分の役割というものを知ってるのか!これから行くから首根っこ洗って待ってろ!」空が白むまで待ったが来なかった。云々。

沖縄のある民謡酒場で、私が昔いたところの隣町の住人、という岐阜の人と知り合いになった。通称をヒゲパという。
あるときヒゲパ言うに、酒場のあるじとすっかり話が弾み、店を閉めたら家へ行ってこの続きをやろう、と言われた。まさか知り合いになったばかりの人の家へ押しかけるのもなあ、と思って断った、という。「惜しいことをしたね!沖縄の人が家へ行こうと言ったら、ついて行けばいいの。お世辞でなんかもの言いませんよ。私もだんだんわかったんですけどさ」

黒川修司の受難のはなし。勧められれば何の疑いも無く乗ってしまううちなーんちゅ、彼らは自分も人に勧めるときは本気で言っている。私が苦労している自分の性格は、うちなーんちゅと同じだった。だからこんなにうちなーが恋しいんだ。読みながら涙が出たっけ。

この前の沖縄行きで、歌手の大城美佐子に出会ったのもこの店。お店の人たちは私を見ると、ヒゲパの友だちが来た。ヒゲパ元気か、と口々に言う。あれはヒゲパにこと寄せて、私を覚えていると言っているのだ。

私が新潟から来たと知り、「かわいそうに、だからこんなに積もっちゃったんだ」と白髪頭を撫でてくれた地元のお客。
三線に合わせてしずしずと踊りながら、弾き手が先か、踊り手が先か、テンポが少しずつ、やがて大きくさあっと変わってカチャーシーに突入。みな巻き込まれて夢中になって乱舞。そういうあそび上手、遊ばせ上手の地元の人のいる小さい酒場でこそ。観光客相手の店ではこうはいかない。



by buribushi | 2015-04-08 18:29 | | Comments(4)
Commented by t-haruno at 2015-04-08 20:42
復帰前から沖縄の音楽業界にいた人なのですか。
さぞや、怒涛の日々を過ごされたことでしょうね。
どうして内地へ帰ってしまったのかな
というのが気になるところです。
琉球フェスティバルの第一回目(記憶が正しければ)のライブ盤CDを、以前持っていました。
てるりんの飄々とした司会が面白く、愛聴していました。
でも、あれだけの人数が大挙して内地へ行くわけだから、スタッフはてんやわんやだったろうなーと、↑の文章を読みながら思いました。
安い三線を買って、気がつけば11年目。先日、ついにヒヤミカチ節の練習に取り掛かりました。絶対に無理だと、ずっと手を出せなかった曲です。工工四を見ずに弾けるようになるまでに、1年はかかることでしょう。
Commented by buribushi at 2015-04-08 23:03
t-harunoさん
この本、自分を戯画化して面白く書いているけど、ほんとうは悲しみの書ではないのかなと思ったりします。
旅人にはとことん優しいけど、住み着いてそこの人になるのは難しいんじゃ無いかなー。住みたいと言っていたくせに、ですけど。
住む、では無くて、住んでいるみたいにゆっくりした旅、と校正しておきましょう。
琉球フェスティバルのあったころ、私はまだ沖縄を知りませんでした。
嘉手苅林昌を生で聞いていないのが残念です。登川誠仁は生で何回も聞いて、ビセカツさんのお陰でおうちへ上がってお茶をよばれました。エーッ誠仁さんちへあがっちゃったのー、と、沖縄の人のびっくりぶりにビックリしました。
三線ひけるのー、いいなー。ヒヤ、ヒヤ、ヒヤ ヒヤミカチウキリー ヒヤミカチウキリ(だだだん、と。)
唐船ドーイ弾いて貰って踊りたいです。
Commented by kazuyoo60 at 2015-04-09 11:40 x
付き合ってみて良さの分かる方でしょう。
人の性質の種類のようなものを感じて、楽しく拝読しました。
Commented by buribushi at 2015-04-09 20:12
kazuyoo60さん
子どもの時から「この子は冗談が効かんで、かまっちゃいかん」と言われましたが。
沖縄へ行くと同類が一杯で安らかです。

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