おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

人間国宝 柳家小三治

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新潟市で柳家小三治独演会。娘の奢りで行って来た。席がやっと取れた状態で、3階の最前列は手すりが邪魔な天井桟敷だったが、話のさわりが来るぞ、と手すりに乗り出しては演者をよく見ようとするのも味のあることであった。
開演ギリギリに入って来た隣の席の人も、ここぞと言うとき乗り出すので、やはりかなりの落語好きと見た。

噺は、長い枕と「時蕎麦」で、こんなことでは済むまいぞ、と思っていたら、二席目は枕無しでイキナリ入ったのが「死神」。やったね。
「下げ」がどうなるかと思ったら、短くなった寿命のロウソクにやっと点した灯に、自分で、ヘクション!
その前に、風邪気味だ、早く帰って寝ようという伏線があったのだ。
手が震えてロウソクの火が移せず、ぱたりと前にのめってしまう三遊亭円生の下げをおもいだした。

あ、落語ファンでない人にちょっと説明すると、食い詰めた男が首を吊ろうとしていて死神に出会う。
死神が枕元に座っていたらその病人は寿命がない。足元に座っていたらまだ寿命があるから、呪文を唱えて手をポンポン、と打てば死神が消えて病人は助かる。長病いの人の処へ行ってはお金をかせぐ。
ある時、助かったら五千両出す、という話に目がくらみ、枕元にいる死神を出し抜いて布団をぐるりと回してしまう。蕎麦が十六文の時代である。

それで、まだあった自分の寿命と、瀕死の病人の寿命を取り換えてしまったと、死神に短いロウソクを見せられる。燃えさしの、別の短いロウソクに火を移せば、まだ少しは生きられるという瀬戸際、やっと移した火に自分でくしゃみをしてしまう。
火を移すぞ、というとき、隣と私はさっと手すりに身を乗り出したのだった。

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普通、楽屋見舞いをしたい、というとすっと通して貰えたので、今回もそのつもりだったが、携帯電話であちこちへ連絡を取りまくり、ものものしい。主催者が民間でなくてなにかおカタいところだったか?

これはおよそ粋(いき)ではないな、もうご挨拶は諦め、お土産だけ託して帰ろうと思ったが、そうこうするうちに小三治師匠自らコロコロのついたカバンを引っ張ってあらわれた。

いつ、どういう場面で出会っていたかも思い出して頂けて、写真まで一緒して貰って、無事お土産も渡し、車に乗ってからドキドキと動悸がはげしくなった。
あ!思い出した。歌とか俳句の話をしたっけね、と言って頂いた。色紙に書かれた意味深な俳句を、「いろっぽい句がありますね」と言ったら、「わかりましたか、なかなか判ってもらえないんですよ、」と、その色紙は私が頂いてある。

彼、この夏に人間国宝になられたのだ。アガってしまって、そのお祝いも述べなかった。



by buribushi | 2014-11-07 23:28 | ひと | Comments(9)
Commented by sakko at 2014-11-08 01:02 x
すごいですね。
一番下の写真を見てびっくり。
人間国宝の柳家小三治さんと並んでの写真。
いい記念になりますね。
落語は好きですが、寄席には行ったことがありません。
何時もの三人組の平田さんが娘さんと桂・・・誰だったかなの落語を聞きに行った。良かったとのことで
次回は繁昌亭に行こうと言う約束ですがこれは何時も変更ありです。
娘さん、素敵なプレゼントをしてくれましたね。
Commented by buribushi at 2014-11-08 16:25
sakkoさん
一番好きな落語家で、では二番、三番はと言われてもおもいつかないんですよ。
十数年前、小三治師匠と、横目家助平という前座、桃川なにがしという紙剪りの芸人さん、を呼んだことがあります。
もちろん私たちがそんな大それた事は出来ないんで、知人の、新潟県出身の春風亭華柳(当時梅枝)に頼んでお膳立てしてもらったんですけど。個人じゃなくオオヤケのところで頼みましたのでギャラもしっかり出て、とてもいい寄席になりました。
ほんとは昨日みたいなお堅いところではなく、東京の寄席で近々と聞きたいものです。
昨日は双眼鏡を使わないと着物の柄も、表情もよく判りませんでした。もちろん落語はしっかり聞こえました。
Commented by kazuyoo60 at 2014-11-08 20:13 x
お写真もご一緒にですか。私が出会うのはテレビだけですが、いつの場合でも楽しいです。
内容を知っていても芸の力ですね。
Commented by buribushi at 2014-11-08 21:19
kazuyoo60さん
小三治がテレビやラジオに出る度録音して、私家版の音源がいろいろありますが、同じ話を何遍聞いても面白いんです。
話の筋はもちろん、次あれ言うぞ、とわかっていても笑ってしまう。まさに芸の力ですね。
Commented by demi_zo at 2014-11-09 09:37
うんわーーーーー!ご贔屓の噺家さんに会えて、話までできるなんて、ナント羨ましい!!!
私は すばるさんにはとても追いつきませんが、落語ファンです!今は亡き古今亭志ん朝さんが大好きです!
落語が好きになったきっかけの噺は、、たしか、ためし酒だったと思います。
引き込まれました!
いつの日か、寄席で聞きたいなぁ!
Commented by buribushi at 2014-11-09 14:43
demi-zoさん
志ん朝はわたしも大好きです。
三十数年のむかし、円生の噺が聞きたくて、自宅へ電話を掛け(弟子が出た)、スケジュールを聞いて、一泊二日で寄席から寄席へ、演芸場へ、と追っかけをするという無茶をしました。
東京へはなかなか行けない、呼んでしまえばいい、となって、知人の弟の落語家春風亭華柳(当時梅枝)を呼んで地元で寄席もやりました、てくてくキップを売り歩いてね。
「じゅげむ会」っていうんですけど。
何を隠そう、じゅげむ会席亭たぁアタシの事だ!
Commented by mikeblog at 2014-11-09 18:16
とてもい日になりましたね。すごいすごい!
昔はラジオの時代で落語はよく聞きました。そうそう死に神、思い出しました。今の落語家さんは落語だけではなくてTVにも出たりして忙しそうですね。本職の落語はなかなか聞けません。本当によかったですね。
Commented by buribushi at 2014-11-09 18:47
ミケさん
若い落語家はテレビによく出ていますね。寄席に出るのと比べれば収入はいいでしょうが、落語の勉強は寄席ですよねー。
「初天神」とか、「ああら我が君」と長屋のお嫁さんが言う、あれなんでしたっけね、そんな普通の噺が、小三治に掛かると何とも面白くて。
初めに長い枕を振って「時蕎麦」、二席目が枕なしで死に神だったんですけど、その枕の中で、フランク永井のことを話して、歌まで歌ったんですよ。歌も上手でした。
Commented by buribushi at 2014-11-09 22:50
思い出した。
ああらわが君、は「たらちね」でした。

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