おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

添削者の罪

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発送前の短歌冊子。
ホームページのほうの画面を写したから不鮮明。
読者投稿短歌を選ぶしごとを受けてから20年近くなる。以前は俳句、川柳と3部門一緒にして、年一回新聞社が冊子にしていたのを、採算が取れなくて中止になった。
ほかの2部門の選者に計ってみた後、自分一人でやることにして、自費出版で冊子を作り始めた。

ある年、「人の作品で本を作って営利行為をしているので著作権法違反で提訴する」という匿名の電話があった。
当時、冊子の定価より制作費の方が高かった。営利行為どころではないが、「人の作品を使って」いることはたしかだ。その年は新聞にも告知を出して貰えず、ほとんど売れ残ってしまった。
次の年から、冊子を作ること、作品掲載の可否を問い、冊子の要る人は冊数を知らせてと全員にハガキを出す事にした。

沖縄の友だちに誤植の多さを指摘され、もっと少ない費用で正確に作れると言うので、沖縄で作って貰うようになった。
予約に従っておおよその冊数を決められる上に、出来たら一斉に送り出せる。誤植はゼロ!赤字も少なくなって来た。あの嫌がらせ電話があったおかげだと、いまは有り難く思う。

投稿者の年齢は上がるばかりだから、投稿していない歌をなんで掲載したかという電話があるなど、老人力がらみの「薬味」はちょいちょいある。

今年のはちとひどかった。注文していない本が来たと電話あり。何月何日にご本人が電話で予約した記録があると言っても記憶にないという。後日男性の声で同じ趣旨の電話。押し売り扱い。
私の費用で作る自費出版というもので、それを予約に従って実費でお分けしている。モウケ仕事ではないと言えば、そんなことは証拠がないという。いろいろコピーして送る。

さらに後日、「息子が失礼しました、局まであるいて行けないので、普通の封筒ですがお金を同封して人に託します」というまともな手紙が来て、お金は入っていない。
疲れるからもうこの話は打ち切るが、お金は入っていなかった、とハガキを出す。
さらに無礼電話あり。なんと言われようが受け取っていないが、現金封筒でないから、向こうの良く言う言葉「証拠」もない。

さっき、やっと思い当たったこと。売れないで残った年の冊子、いまより厚く重いのを(3年分だから)、新しい投稿家を中心に1冊、「おマケです」と書き添えて同封した。
中をよく見ないで、頼んでないのが来た!押し売りだ、となったものか。あとは悪い方へ悪い方へ。電話があったとき、おまけを上げたことを忘れていた私もいけない。とんだおマケだった。

今夜は一人居なのを幸い、心やすい人に、聞いて聞いてと電話する。添削という話になる。添削して貰ったとき、そう言いたかったのだ、どうして私の気持ちが分かりましたか、と言った人だ。

添削で思い出した!もう亡くなられて久しいから話すけど、Tさんの歌を添削ならぬ代作に等しいことをした。
戦地から復員して虚脱状態のとき、友だちが自分でドジョウを取って、ドジョウ汁を煮て鍋ごと運んで来てくれた。有り難くて、美味くて、それから食欲が出て回復し始めた、という話。
それを彼が真剣に歌にするんだけど、省略が出来なくて大幅に字余りになり、何度作り直しても肝腎の所が伝わらない。
こう言いたかったんでしょうと一首にまとめてみた。その通りなんだ!と、いうことで、その歌はTさんの作品と言うことになっている。最後が「・・・食いて生きたり」というのだ。

添削者がそこまでするものではないことなど百も承知ながら、戦争体験を詠い残したい彼の気持ちは本物だったし、彼独特の感受は魅力的だったので、そうした。彼は戦争体験の歌を十数首紙上に遺した。

彼が亡くなったとき、駆けつけたら葬儀は始まっていた。
友人代表の弔辞の中で、Tさんの話を歌にした私の作品が二首読み上げられた。正式な通知はなくてまた聞きで駆けつけたので、私がいることはその人もご家族も知らないのだ。歌をやっていて良かった。歌で人と関わってきて良かった。

酷い目に会った話をぶちまけたくて電話したが、最後に、添削と言うことからTさんを思い出すことが出来て、救われた。

同じ短歌を仲立ちにしながら、人との関わりのこの違い方。命の器、という言葉を思い出した。

Tさんを詠った私の歌(弔辞に引用されたもの)
 身を屈め魚野の川の底を蹴りて浮きて遊びし遠き日言はす
 蹴りつけて浮上なすべき底あらぬ真闇なりしとビルマの海は

また、昔の歌ながら、今の気持ちにもふさわしい歌。
 みずからの器に人を量るよりすべなくて晒すその心根を

楽しい歌もひとつくらいは。
 一歳のチエが指しつつ呼ばふもの猫もワンワン鶏(とり)もワンワン 

このチエ、生い長けて、いまは竹細工師、兼、山古志闘牛の牛持ち(!)になった。人生は善し。


(8月19日書く)



by buribushi | 2013-08-20 08:20 | 本・短歌など | Comments(6)
Commented by ミミの父 at 2013-08-20 09:52 x
ご苦労が沢山で、一分でしょうが疲れますね。
はがきの経費が倍になりますが、往復はがきにして往信のはがきに控用の欄を作ったらどうでしょうか。お互い手元に証しが残るので、問題は減るかも知れません。
Commented by buribushi at 2013-08-20 10:00
ミミの父さま
こんなのはごくごく一部で、皆さん待っていて喜んでくれます。
今朝も新聞で見た、と注文を受けたばかりです。
しかし、私をサギ呼ばわりした親も子も、電話で、こっちが話し始めるとおっかぶせて喋り、こっちの言うことを聞いていないのですね。あれでは上手く行かないことが多いでしょう。
苦労してるんだろうな、世の中悪い人ばかりだと思って、ウニみたいにトゲを出して。と、思います。
私もトシ寄りましたね、アタマに上る血が足りなくなったんですかね。
Commented by kazuyoo60 at 2013-08-20 11:42 x
行き違いはあっても、最後は良い方にと解釈されました。
関わり合いは難しいけれど、その関わり合いの多さが人生を豊かにしてくれますね。
Commented by buribushi at 2013-08-20 12:41
kazuyoo60さん
さっき、「もう送金は不要です。悪いご縁を切るためのお布施と考えます」と書いて、封筒の裏には開封して貰うため送金不要の通知だということを書いて出しました。
こんな考え方で生きている人は苦労が絶えないでしょうね。運が悪くて、悪い人にばかり会うと思っていることでしょう。自分が原因なのにね。
Commented at 2013-08-22 01:18 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by buribushi at 2013-08-22 06:38
鍵コメさま
ありがとうございます。喜んでくださる方が沢山で、カンパも頂いて、充分報われています。
こんな相手はさっさと切り捨てれば良かったのでしょうが、言いなりになると「押し売り」呼ばわりを認めることになるかと応酬していたのは失敗です。
こんな縁は切るにしかず、そのためのお布施もしくはお賽銭と思うことにして話し合いを中止しました。支払わないで済めばそれでよかったのでしょう、静かになりました。
誌代のご心配などご無用のこと!上越すご厚意を受けています。
花はうれしいです、張り切って水苔を用意して、植え替えに備えていますが、取り敢えず竹垣(の、見本)を玄関のうちにおいたのに掛けました。

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