おしゃべりきものⅡ-または、おしゃべりねこ

雛の目のいづこを見つつ流さるる

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昨日、さる会合に出た。希望することを書くところがあったので、「地球の平穏」「世界の平和」「原発廃止」と書いた。
ナイトウさんが「家庭に於ける実際的看護の秘訣-築田多吉」を持って来られた。表紙が赤いので通称赤本という、戦前に出た本の改訂版で、千六百版を重ねたとかいう伝説的な本。先日私の血圧のことを聞いて貸してくださった。
戦後すぐの印刷で紙もわるく読みにくいが、ご好意有り難くお借りした。

帰りに買った本三冊。岩波ブックレットの原発関係二冊、山本健吉の俳句鑑賞。

俳句の本は、開けて見たページにあった「雛の目のいづこを見つつ流さるる 相馬遷子」にぐいと引きこまれて。相馬氏については何も知らないが、命の終わり近い人の見たもの、と思った。若い時では気がつかず通り過ぎたのではないかと、この句を思う。

その句に打たれた程には、好きな句ばかりということもなかった。まあ当然だろう。好きな句ばかり読みたかったら自分で書き抜くしかない。
私の一生の不覚は、俳句をやらなかったことだと思う。短歌に掴まって60年以上経ち、いまさらどうにもならないことながら、ここ数年、繰り返しそう思う。

俳句を作るのと短歌を作るのは本質的に違い、それは人間性にも、生き方にも、みんな関わったことだろう。

「生涯にまはり灯籠の句一つ 高野 素十」
これは人を弔う句。熱心ではあったが下手の横好きの俳句作者がいて、その人の名を言えば思い出すまわり灯籠の句が一つあった、と。一つあればいいではないか。

「虫の闇死の闇ほどは深からず 成瀬桜桃子」
これも老いて初めて味わえると思う句。

「木がらしや目刺にのこる海のいろ 芥川龍之介」これはよく覚えていた句。

「竹馬やいろはにほへとちりぢりに 久保田万太郎」これも同じく。

「夢の世に葱を作りて寂しさよ 永田耕衣」この世界は昔から好き。本歌取りめいて歌を作った。

「此の秋は何で年よる雲に鳥 松尾芭蕉」

「うすものを着て雲の行くたのしさよ 細見綾子」

「あきかぜのふきぬけゆくや人の中 久保田万太郎」

いま、喩えを思いついたんだけど、短歌を染め物とすれば、俳句は織物だと思う。作者の意がより出やすいものと、偶然が働くようにおのずから生まれる部分のあるものと。

原発本についてはまた。



by buribushi | 2012-06-11 14:56 | 本・短歌など | Comments(14)
Commented by kazuyoo60 at 2012-06-11 15:46 x
原発再開になるのでしょうね。私が見聞きできるのはテレビや新聞だけですので。
停電も困りますが、まさかが起こるのは恐怖です。一生自宅へ戻れない方がかなり多数に上ってるとの新聞記事も見ています。
Commented by 居酒屋猫まみれ at 2012-06-11 20:10 x
>短歌を染め物とすれば、俳句は織物
私はどちらも縁がないから作った事すらないけれど、
それぞれの質感と言うのがあるのですねー。
少しの言葉で表現するものですから難しいですね。
作家さんの癖や表現方法も色々でしょうから
同じ作り手の作品でも好き嫌いがあるのはしかたないですね。
ある曲を聴いていいなと思って何曲も入ったCDを買って聞いてみたら
なーんだ、他の曲はたいしたことなかった....なんて
良くある事だし。
Commented by buribushi at 2012-06-11 22:35
kazuyoo60さん
なんという情けない政府を持ったかと思うけど、選んで出してやったのは普通の、私たち同様の人々ですよねー。
しくじってはすぐ止める首相を見て呆れたけど、いまの首相は辞めないですむようにそろそろ歩いているだけで何にもしていない。今までで一番いけないと私は思います。
電気が足りなくて経済ががたついたって、平穏に住んでいた故郷も、田畑も、家も動物も、もう無くして一生手に入らない人をこれ以上増やすことに比べたら何でもありゃしない。
ごめんなさい。ここで大声出したって仕方がない。
Commented by buribushi at 2012-06-11 22:43
居酒屋猫まみれさん
ほんとうにこれぞ俳句。これぞ歌。と、人が記憶してわすれられないような作品は一生に幾つもないのでしょうね。
努力すれば、頑張れば、それが出来るってもんでもないし。
あるときどこかから下りてきて、その人を通って出ていくような、そういうもの。その可能性が才能というのかもしれない。

今日私すこしヘンですね。
ものすごいど忘れをしてショックをうけているのかもしれない。
ごめんなさい。病気は治るかもしれないけど、老いることは治らない。
Commented by ミミの父 at 2012-06-12 09:57 x
数年前、埼玉熊谷は35度を越える猛暑日が、ひと夏に40日ほどありました。
我が家では風通しの悪い家で、何日もエアコンを使わず過ごしたので、家人は狂いそうでした。
聞いた話によると昭和30年代頃の生活をすれば、原発なんか無くたって大丈夫だそうです。
我が家は(私が)強制的にでも可能にできそうですが、国全体で覚悟を決めないと難しいですね。
正直者だけが馬鹿をみないで、みんなで汗かかないと。f^_^;
Commented by buribushi at 2012-06-12 10:33
ミミの父さま
猛暑日、ありますあります。地形的にフェーン現象が起きやすいのか、38度なんていう日もありました。
沖縄は気温が高い日でも32度か33度くらいだから、また沖縄に勝っちゃった、と言っていたものです。
エアコンは人が来たときしかつかわず、風呂場でぬるま湯を被ったりして凌ぎます。
消雪屋根のことはお話ししましたが、なぜかこの屋根、二階のほうが涼しく感じます。夫は二階で開け放って昼寝します。ネコは玄関から続く廊下で昼寝します、一番涼しい(ヒトはここはまずい)。
昭和30年代にうちになかったもの。エアコン。パソコン。レンジ。カラーテレビ。車。無くせるものは?
同じく無かったもので省エネのほう。雨水槽。薪ストーブ。
Commented by gonbey at 2012-06-12 16:43 x
織物権兵衛です、なんちゃって。染め物はテクニックも根気も必要ではないでしょうか。織物は下手も味になるかもしれません。俳句を始めてからせっかちに拍車がかかったような気もします。17文字で詩を作るって不遜な願いのようにも思います。俳句の読者は100%俳句作者だというのを読んで納得するのです。宗教みたいです。
Commented by buribushi at 2012-06-12 22:56
gonbeyさん
思いついたばかりだけど、ほんとに染め物と織物に似ています。
私は着るものも断然紬がすきだし、ほんらい織物系だったかも。
>俳句の読者は100%俳句作者
私はおなじことを、「短歌は生産者と消費者の数が同じ」と言われました。どっちみち、そういう世界なんですかねー。
でも私俳句を読むのは好きだし、生のところどころで、一度読んでぱっとしみ込んでしまい、忘れない俳句もあります。
「育ちしもこの炉捨てしもこの炉かな」
「泉辺にほとばしるもの無き生涯」
作者は忘れました、どちらも男性でしたが。
今回見つけた「雛の目のいずこを見つつ流さるる」
藻、忘れないことでしょう。あ、これも男性だ。わたし俳句系で男性系?
この前朝日新聞の俳壇で、読むなり涙がぼとぼとと出た句がありましたが、それをいま句として思い出せません。草笛を吹いて別れてそれっきり、というような内容でした。
Commented by buribushi at 2012-06-12 22:57
続きです。
昔の人は記憶力がいいことをアタマがいいと言ったので、この子(私)はアタマがいい、いいというので本気にしたこともありました。いまはサッパリです。
わたしにも俳句が一つあります。
「とびたちてまた帰りくるとんぼかな」小学校6年生の国語の時間に窓の外を見て作りました。
Commented by gonbey at 2012-06-13 10:25 x
とびたちてまた帰りくるとんぼかな
いいですね。ませてますね。こーいう句こそ作りたいです。 
いまんとこ私の一句は
いっぽんの囀の木となりにけり
です。
Commented by buribushi at 2012-06-13 11:49
gonbeyさん
>いっぽんの囀の木となりにけり
すてき。
やっぱり俳句やれば良かった。60年遅い。
とんぼの句が一応句になっているのに、当時の私の歌は誰が見ても啄木のマネでしかなくて、はずかしくてぎゃっと言いそう。
もし、指導者がいたらなあ。おまえは歌より俳句をやれ、と言ってくれるような人はいなかった。
こんど来たら(この世へ)俳句やります。あれ、もう来ないと言ったの誰だっけ。
Commented by gonbey at 2012-06-13 14:59 x
俳句から短歌に行くより、短歌から俳句へは近いと思う。歴史的にもそうだし。スバルさんに私が言うことではないが、作られたらいかがでしょうか。口の悪い人に向いているモンだと思います。
Commented by gonbey at 2012-06-13 15:01 x
口が悪くてせっかち!
Commented by buribushi at 2012-06-13 21:25
gonbeyさん
口が悪かったっけ?わたし。ああ、いや、ほんとのことを言い過ぎると言われたことはあります。寄らば斬るぞでおっかない、って。でも、それは住民運動で町に逆らっていたときですけど。
年寄ってきて、おとなしくなったとおもうけどなー。
ネコ被っている分、中味がわるかったりして!

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